デザイナーではなく、デザイン思考のススメ(2010年12月21日)

はじめまして、初老ディレクターことヒラーマンです。
若いJ10において、平均年齢を圧倒的に引き上げる存在です。

いつもここでは、スタッフがいろいろ便利なツールや
情報を発信しておりますが、私の守備範囲は
デザインとディレクションとプランニングとなりますゆえ、
そのあたりのことを掘り下げてご紹介しようという試みです。

皆様ご存知のようにデザイナーはWEBにおいて、
重要な役割のひとつなのですが、
デザイナーってなに? と一言で言えないものです。

絵を描く人? 画面を設計する人? イメージを伝える人?
全部正解ですね。

ただ、その場合のデザイナーは、現場の制作行程での作業者ということになります。
これだけではいけません。わりと、だれでもできそうです。

では、なにが足りないのか。
これからのデザイナーの方向の一つをご紹介しましょう。

現在、名だたる企業の中枢での会議に「デザイナー」という肩書きの方々が
登場し始めております。
特に欧米ではさかんに、この肩書きの重役が登場しております。

彼らは、なんなのか?

彼らを正確に言い表すと
「デザイン思考家」とでもいいましょうか。
物事のとらえかたを、デザイナーのように思考する人々のことです。

新しい職業?
いいえ、違います。
ずーっと昔から、そういう人々はいて、多くのことに関わり成功を収めてきていたのですが、
とくに体系化されずに「センス」や「才能」という言葉に隠されて来た能力です。

企業にとって重要な行程にイノベーションというものがあります。

これなくして、企業は持続的成長と存在を両立させることはできません。
そして、このイノベーションにアプローチする際に必要なのが、「デザイン的思考」になります。

ここでひとつ定義しますね。
デザインする際に必ず満たさなければならない条件があります。

有用性(なんらかの有効な使用、人々にとって合理的かどうか)
経済的実現性(予算や、会社内の人員の時間。持続可能なビジネスかどうか)
技術的実現性(表現、実現するにあたり必要になる知識や技術)

これらは、制約条件として登場します。

制約条件というと、なにかの縛りを感じるかもしれませんが、
これこそが、アイデアを生み出すための必須条件なのです。

困難であると感じるということは、まだ制約のほうが上手であるということです。
これらを回避、または破壊、消去、なんでもいいのですが、とにかく乗り越えていく
過程の中に新たな発想と、それを現実にする技術が発揮されていくのです。

デザインとはこれら困難な条件を「前向きに」クリアしていく行程そのものです。


なにかに似ていませんか?


気づいている方もいるかもしれません。

たとえば、一つのインターフェイスを作り上げるときに、
デザイナーが立ち向かい、様々な手法で条件を満たしていく行程は
企業におけるイノベーションと同じ制約で行われるのです。

新しい切り口、捉え方、技術から、まったく予想だにしないアイデアを
生み出して自発的に変化させていく思考のしかた。
しかも、その方法は、通常のビジネスの土壌からは生まれにくい、
画期的なアプローチになります。

デザイナーは、技術のスキルを身につける段階のあと、
そのスキルを使って上記の制約を「打破」するのではなく
バランスをとる思考を持つビジネスマンになれれば、作業者の立場から正常進化します。

アーティストの側面とビジネスマンの側面を
それこそバランスできるようになれば
もっと、意義のあるデザインへと向かっていくことができるはずです。

そろそろ、デザイナーも進化したほうがいいのかもしれません。

我がジェイテンネットでは、その中でも時間の制約が大きく存在します。

これは、悪いことではありません。
みんなで効率よく仕事して、早く帰ってしまうための制約。
そのためにどうすればいいかを考えてバランスのいい仕事をしていくことに意義はあります。

でも、いくつになっても作業行程も捨てがたい。。。
そのへんが私の限界かもしれません。

ともかく、デザイナーはもっとたくさんのことをデザインするほうが
楽しいですよというお話です。

このお話はもっと長いものですので、それはまたの機会に。。。
御精読ありがとうございました。

ケンヂ