営業するデザイン(2011年4月27日)

春ですね。花粉症にならないのは体が古いからなのでしょうか?
ディレクターのケンヂです。

前回、デザイナーの正常進化のお話をしましたが、
今回はデザイン思考の営業のお話です。

営業と聞くとスーツにネクタイで、走りまわっているか、
もしくは、お客様と打ち合わせをして、帰りに飲んで帰るか的なことを
考えてしまいがちです。

しかし、本来は「ビジネス ディビジョン」と言われるように
お仕事の基礎を重点的に行う職種だと思います。

我々J10は制作会社なので、どうしてもオペレーションに
重点をおいてしまいがちなんですが、
もとは、営業活動のもと、お客様からのオファーを形にして
ご提案するというのがお仕事ですね。

ということは、スタートはやはり営業そのものです。

さて、営業マンではなく、デザイン思考で営業するということにおいて
もっとも有利に働くのは、その手法です。

デザイン思考で営業をする際、その場でイメージ図とツリーを描き、
お客様のイメージをすぐに見える形で共有するということでスピード感が出ます。

それだけではありません
全体像を脳内イメージで俯瞰でとらえて
漏れやダブりを防ぐように思考することで
「絵」としてプロジェクトを感覚的に支配できるのです。

分かりにくいですよね?

つまり、こまかな文書を読み込む際に、イメージとして脳内に蓄積させる
ことによって、大きなハズレをしないように、プロジェクトを進められるわけです。

弱点もあります。
あまりに初期段階で強烈にイメージしてしまうと
変更、変化に対して、すぐに対応できなくなる可能性があります。

そのときは、最初に戻るのではなく、思考のログを覚えておくことです。

個人差があるので、なんとも言えませんが
わたしの場合は、思考メソッドがはっきりしているので
どの時点まで戻ればいいかは、だいたい想像がつきます。

これが、いわゆるキャリアというもので
ビジネスフォーマットをたくさんもっている人が仕事が出来る人。
というような、評価もされてしまうくらい大事なフォーマット化。

所属する会社によってやり方やルールが違っても
このフォーマットをしてあることで、どこにいても大概は対処できるものです。

私は、お客様のお話を伺う際に、どのフォーマットがあうのかを
だいたい決めてしまいます。暫定的でも。

図を多用したほうが良い場合とか、リサーチでバックボーンや情報ソースを
網羅したほうがよい場合、理論的に簡潔な場合がいい場合もあるし、
どちらかというとアイデアでどーん!と押したほうがいい場合。

これは、案件の方向性と、お客様のタイプによって変えるものです。

営業に行く先によって、自分の雰囲気も変化させてしまうのも
面白い作業だと思います。

こういう変化に対応しきるには、個人の性格もあるのでしょうが、
明らかなゴール設定を間違わないようにするということです。

迷路のように入り組んだ案件にも必ず出口があります。
仕事が必ずいつか終了するように。

迷路は俯瞰で見れば簡単に出口がわかりますよね。
俯瞰でとらえるというのは、迷路のこの出口=ゴールを見落とさないようにするため。
そのゴールに向かう手前の紆余曲折も、ゴールの方向に進んでいれば
概ね、OKということです。

つまり、デザイン思考での営業というのは、自分自身もデザインしてしまい、
より効果的に思考し行動するためには、プロセスでのストレスはどうでもよく、
ゴールに向かっているという信念のもとに、プロジェクトを推進することだと
思うわけです。

いつもスーツで出かける父を見ていた大学生の頃には
考えもしなかったんですが、その時、商社の取締役だった父はこう言いました。

「俺は背広は嫌いだが、役に立つから着るんだ」

30年以上着続けてもなお嫌いだと言い放ちながら、バリッと着こなす父は
かっこいいなと、大学生の私はなぜか初めて思ったことを思い出します。

やりたいように仕事をするのがカッコイイわけではなく、
ゴールを見据えて最短距離やリスク回避や目的以上の成果をあげるために
自分自身を変化させていくのがビジネスマンです。

そこに個人的な好き嫌いは存在しません。

ここでやっかいなのが、デザイナーという職種です。
私自身、20年以上やっていますが、
どうしても自分の好みやこだわりを捨て切れません。

そこで、切り替えます

自分をデザインしよう!

思考をデザインにしたまま、ビジネスマンになろう。

これがかれこれ10年前。

今もまだデザイナー気質が出てしまうのがなかなか難しいところですが、
それでも、日夜、努力をしたいものです。

営業をデザインしてみるのも、面白いですよ。

ではまた!


ケンヂ